今、この時代に思うこと―斉藤隆夫粛軍演説―
我々が国家競争に向うに当りまして、
徹頭徹尾自国本位であらねばならぬ。
自国の力を養成し、自国の力を強化する、
これより他に国家の向うべき途はないのであります。
かの欧米のキリスト教国、これをご覧なさい。
彼らは内にあっては十字架の前に頭を下げておりますけれども、
ひとたび国際問題に直面致しますと、
キリストの信条も慈善博愛も一切蹴散らかしてしまって、
弱肉強食の修羅道に向って猛進をする。
これが即ち人類の歴史であり、
奪うことの出来ない現実であるのであります。
この現実を無視して、
ただいたずらに聖戦の美名に隠れて、
国民的犠牲を閑却し、
曰く国際正義、曰く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、
かくのごとき、雲をつかむような文字を並べ立てて、
そうして千載一遇の機会を逸し、
国家百年の大計を誤るようなことがありましたならば、
現在の政治家は死してもその罪を滅ぼすことはできない。
沖縄の基地問題や報道ステーションの古舘・古賀さんの口論を見ていると、
どうも今の政治世界に立ち込める空気が、良くない方向に進んでいる気がしてならない。