日本の左翼と右翼

左翼が新左翼になったことが、現在の左右対立の不自然さの根源。

共産党イデオロギー(科学主義と進歩主義)が改革派としてあったが、プラハの春などが起き、党が支援する左翼運動は60年代に行き詰まる。

それと同時に、学生が中心となった新左翼運動が立ち上がる。

彼らは、当時、経済成長の終焉ということが言われていたため、環境保護と親和性が高い。また、公民権運動などもあったことから、マイノリティー保護という思想も入っている。しかしながら、この運動は、人類が合理的な英知を持って進歩するという左翼の思想とは全く異なったもの。こうして70年代に今の左翼の形ができた。新左翼になったことでサブカルチャーとも結びついている。ジョンレノンのイマジンなどがそう。

左翼は進歩主義自由主義がベースだが、最近の左翼には進歩主義がなくなり、自由も世界の自由ではなく私の自由という狭い自由に置き換わっている。

かつての左右対立は共産主義VS反共産主義だったが、冷戦の終焉で意味がなくなった。

今の政治は、グローバルとローカルという軸と経済的に分配するか成長重視かという軸で4象限あるパイを、すべての政党がすべての象限を獲得しようとしているため、各党が同じようなことを言うようになっている。

人を動かす仕掛け

松村真宏さんの『仕掛学』という本から学んだことをメモとして記す。

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まず、「仕掛け」とは何か。

以下の3つの性質を持つものと定義される。

  • 公平性:誰も不利益を被らない
  • 誘引性:つい、したくなる
  • 目的の二重性:仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる

 

仕掛けは

  • 物理的トリガー
  • 心理的トリガー

に分けることができる。

物理的トリガー心理的トリガーを引き起こし、人の行動に変化を与える。

物理的トリガーには聴覚・触覚・嗅覚・味覚・視覚的なフィードバック、またはアナロジーアフォーダンスフィードフォワードがある。

アナロジーとは類似性のことで異質馴化と順質異化を同時に行う、つまり見慣れないものを見慣れたものに変え、見慣れたものを見慣れないものに変えることで人々の興味を引き行動に変化を与える。

アフォーダンスはアナロジーとは違い事前知識なしでもものの使い方が自然とわかって人々の行動を引き起こす。

心理的トリガーには個人的文脈社会的文脈がある。

個人的文脈は挑戦、不協和、ネガティブな期待、ポジティブな期待、報酬、自己承認に分けることができ、社会的文脈は被視感、社会規範、社会的証明に分類することができる。

面白い芸、上手い芸

2018年のM1グランプリでの志らく師匠の言葉が印象的だった。

 

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技術がある上手な芸は、上手いと思ってしまい心から感動しない。そういう漫才は笑ってしまうことはあっても面白いわけではない。魅力やセンスを身につけなければ、心から面白いものにならない。

同じことが色々なことに言える。

経営者の3要素

経営者として成功するためには3つの要素が必要不可欠である。

 

<社会が信用するノウハウ>

その仕事に対しての絶対的なノウハウがあること。社会というのは一人二人ではだめだということ。

 

<社会が信用する経済力>

昨日、一昨日、宝くじが当たって5000万円手に入ったとしても、経済力があるとは言わない。毎日、同じ口座に、コツコツと1万円ずつ貯めて100万円貯金できた人の方を人は信用する。

 

<経営者としての資質>

最低限の、人を使う心、人と付き合う心、また、お金を使う心を持っていること。

人間の学習と正当化の論理

論理は二つある。

  • 学習の論理(生成する論理)-AI
  • 正当化の論理(後付けの論理、嘘の論理)

この二つは違う。

 

人間は何かを修得するときは

試行錯誤をして、あーでもないこーでもないと行き当たりばったりで考えて、

学習して何かを身につけていく。

これが学習の論理。

 

一方で、法律のように公共的な説明をするとき、あるいは、他人に説明をするときには

前者の論理とは全く違う論理で説明をする。

これが正当化の論理。

 

今のAIは学習の論理しかできない。

なんでこういう結果になったのかを論理的に説明できないと、公的な場面では使えない。

 

 

 

 

リノベーション、団地問題など

 『建築雑誌』2018年3月号のテーマは

  • リノベーションのジレンマ
  • 生き残る郊外の条件

近年、ホテルへのコンバージョンなどが話題になっており、面白いテーマなので備忘録として記す。

ちなみに、リノベーションとコンバージョンという言葉がよく雑誌などで使われているが、違いは何なのか。リノベーションは用途変更をしない方法で、コンバージョンは用途変更を行う方法で、どちらも建物を改修してきれいにし、資産価値を高めるという点では変わりない。ここではどちらもひっくるめてリノベーションと呼ぶことにする。

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 日本におけるリノベーションの問題は2つある

一つは法律などの既存制度の問題、そしてもう一つは経済の問題。

まず、法律の問題について、

戦後にできた建築基準法は新築を前提としたもので、建物をスクラップアンドビルドすることを前提にしています。その方がGDPが伸びるという発想のもとに成り立っているものです。戦後に作られた法律は「フロー」をいかにコントロールするかという原理でできています。「ストック」をどう扱うかのルールを作らなければなりません。

例えば、団地のような区分所有建物。構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物を「区分所有建物」という。これをどう所有、管理していくかを定めたものが「区分所有法」です。そこではひとつの建物に複数の所有権が存在すると定義されています。さらに複雑なことに、国交省のマンション標準管理規約の団地型で想定している団地は、「土地が区分所有者全員の共有であること」「敷地内すべての建物が区分所有建物であること」「敷地内すべての建物が区分所有建物であること」「棟ごとではなくひとつの団地管理組合が全部の棟を管理していること」の三つの要件があります。この要件から外れてしまう、敷地が分かれていたり、戸建てと区分所有建物、分譲と賃貸が混在したりしているような団地は、非常に建て替えが困難な状況です。

 

次に、経済の問題、

大金を叩いてリノベーションしたとしても不動産評価額にはそれが反映されない。新築を前提として市場の構造や評価が変わらなければ、リノベーションに意味が見いだされない。

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高度経済成長期、郊外は地方から大都市へ流入する人口の受け皿であったが、今やライフスタイルの変化などもあり、郊外は居住地として選択されにくくなっている。郊外の大部分で人口減少が見込まれ、虫食い状に空き家が発生し、住環境が悪化するリスクを抱えている。住民の高齢化などによる担い手不足は管理不全を起こし、十分に修繕をされないストックが増えている。

近居かリタイアメントタウンか、そのどちらかが郊外の生き残る道と考えられる。

近居とは、郊外としての優位性を示し、中心都市とのゆるいつながりを維持し続ける方法で、 共働きファミリー世帯の子供のケアや高齢化した親のケアといった、近年課題となっている家族の機能を補完するもので、

リタイアメントタウンとは、役割を転換し独立したまちとして役割を再構築する方法で都心部の住居費の高騰を背景に、ゆったりとして空間を求めて若い世代が移り住む、職住近接で働く場としての郊外や、終の棲家・障害活躍の場としての郊外の可能性が考えられる。

 

【参考文献】

『建築雑誌』2018年3月号